市ヶ谷刑務所陸測図該当エリア

1925729日 

和田久太郎書簡 古河三樹松宛

「僕は労働組合が堕落の傾向があるからといって、その力なり、意義なりを軽視するのは大反対だ。それが堕落に向ふやうなら、猶更らその運動に向つて力を尽さなければならないと信ずる。……」

「……あき足るものは自ら創造して行く他にないよ、実行と経験の真ん中から……。」

中村しげ子宛

「昨日古河君が面会に来てくれて、君が病気で臥てゐることを知つた。…君からの手紙を受取つた。見ると<腹下し>とある。まあまあおいたはしいと申上げていいのか、望みが叶つて御芽出度うと、お祝ひ申上げねばならんのかに、また小首を傾けた。…川柳と洒落れる事にした。御受納を願ひたい。」

  姫御前の あられもなくて 腹下し


 192594
和田久太郎書簡
[橘あやめ宛]
「其後お変りもありませんか。遠くアメリカから私共の事を御心配下さる御言伝ては、いつも近藤君から有難く聞いて居ります。僕の求刑を知つて大いに驚かれた由、こんなことは米国ぢや見られないでせうが、之れが日本の国の正体なんです。

 僕は、死刑は素より覚悟の上です。九月十日にどんな判決があつても、決つしてお歎げき下さいますな。

 …村木はあの体ですから、捕つたら駄目だとは思つてゐましたが、それにしても、せめて法廷にだけは起たしてやりたかつたです。僕が思はず枕頭に涙を流したのを見て、彼は『泣いたつて…しようが…あ、あ、あるかッ』と切れ切れな言葉で僕を叱りました。そして、既に意識を失つた死体同然の体を、タンカに乗せられて監獄を出て行きました。それは一月半ばの風の激しい、寒い闇の夜でした。」


1925914
和田久太郎書簡「いよいよお別れだ…」労働無運動社宛
「川口慶介君 いよいよお別れが来た。

燕去り、雁来り、蟲地中に入り、久太赤煉瓦の底に余生を投ず、か。」奥山伸宛、望月桂宛。和田久「下獄」寸前に書簡を発信